月曜日, 12月 28, 2009

wii-tagとりあえずのまとめ

夏ぐらいからCREAMとかGRLとかlaser-tagとかに関わって、考えた事のまとめ。

wii-tagを作り始めた動機はlaser-tagを見て、以下のようなことを考え始めたのがきっかけでした。
  • レーザー光線は危険
  • 原理上複数人で遊べないのはつまらない
  • laser-tagの面白さはどこにあるか気になる
もっとも、最初からwii-tagを作ろうとしたわけではなく、これらの事、特に一番下の事柄を考えることから始めました。

laser-tagの仕組みは大掛かりだけど単純で、レーザーポインタの軌跡をカメラでとらえてポイントされた位置をプロットして、その位置にブラシを描いた画像を、ポインタを当てた壁にプロジェクターで投影する、というものです。
laser-tagについて、レーザーポインタで絵を描くという宣伝文句が使われますが、実際にはレーザ光線で直接描いているわけではなく、カメラ、コンピュータ、プロジェクターがレーザー光線と描かれた絵の間に存在するわけです。
仕組み上、レーザーポインタは派手ではあるけど、座標を指定する役割しか持っていません。またカメラも結局のところ座標指定に必要なセンサーでしかなく、レーザーとカメラはセットとなります。座標の指定をしたいなら、レーザーポインタである必然性は実はなく、x,yの組さえ作り出せれば、他の道具でも構わないわけです。
この事からlaser-tagの核は、コンピュータ、プロジェクター、壁の3つではないかと考えました。
ではレーザーポインタの代わりに使えるものは何かという事で考えたのがWiiリモコンです。割と安直ですが、Wiiリモコンは以下のようなものです。
  • レーザーポインタとほぼ同じ操作感
  • レーザーポインタほど危険ではなく
  • 複数人による操作も可能
ここまでくるとWiiリモコンによるlaser-tagみたいなものがどのようなものか気になるわけです。誰かやっていないかと調べたのですが、誰もやっていないようで、自力でどうにかしないと手に入らない事が分かりました(実際にはGRLオーストラリアの人たちがWiiリモコンを使っていたのですが、その時は調べ切れませんでした)。

実際に作り始めると、Wiiリモコンをパソコンで使う方法がなかなか分からず、またセンサーバーも自作したりと、結構大変な作業でした。
その間にCREAMでの活動の中で、本家laser-tagについても触ったり、設定をいじったり、外でやったりする中で、レーザーポインタは必須では無いにしろ、派手さや遠距離到達性については無視できない特性であることに気付かされ、また危険性については回避しえない事の確認もしました。

今現在、wii-tagはプロトタイプとしては、ほぼ完成状態にあり、一度どこかの壁にプロジェクションして、動作を確かめたいと考えています。
ほぼ完成した今、気になっているのは、この5ヶ月ほどwii-tagを作りつづけた行為は何なのかという事です。
現時点での答えは、wii-tagは鑑賞行為であり、批評行為であるというものです。
ベルナール・スティグレールが紹介しているのですが、19世紀において美術館は作品を鑑賞するだけの場ではなく、模写をする場だったそうです。眼だけではなく、模写という手の運動によって、作品を自分の中に取り込む事が、作品を鑑賞するという行為であり、批評行為だったわけです。
wii-tagはまさにlaser-tagの模写と言えます。5ヶ月がかりでwii-tagを作ると言うことは、5ヶ月がかりでlaser-tagを鑑賞してきた事と同じであり、ここまでやらないとlaser-tagについて最初に考えた事を解決する事は不可能でした。
またこのことは、デジタル・テクノロジーが安価になる事で、デジタル・テクノロジーを利用した作品も模写出来るようになったという事を表しています。
wii-tagについては、鑑賞、批評行為であったと一応結論づけるとして、模写による鑑賞が、デジタル・テクノロジーによる作品についても可能になったという事がどういう事なのかについては、もう少し考える必要があるようです。

今年読んだ小説

何を読んだか記録しておくために、とりあえず記憶の中からリストアップ。
本当は小説に限らず全部記録すべきで、そのためには都度記録した方がいいんだろうけど。
小説というよりSFばかり。そして特に意識していなかったけど女流作家とイギリスの作品が多い。
これは最近のハヤカワの傾向なのでしょうか?
順番は基本的に挙げてある最後の本を読んだ作家順です。
訳者は調べ直したけど、間違いがあるかも。

プロバビリティ・ムーン
プロバビリティ・サン
プロバビリティ・スペース

ナンシー・クレス/著 金子司/訳


複数の異星文明との接触とその戦争を描いたシリーズ。
古代の銀河系超文明が残したらしいゲートを使った跳躍航法によって光速を突破出来る設定。
タイトル通り、だんだんスケールが大きくなっていく。
が、一番の見どころは、登場する異星文明の描写だと思う。
そういう意味で、一番面白いのはムーンかと。サンとスペースはどちらかというと人類の描写が中心なので。





エイリアン・テイスト
ティンカー
ようこそ女たちの王国へ

ウェン・スペンサー/著 赤尾秀子/訳


キャラ重視で作品を作っているらしい作家。でもティンカーや、ようこそ女たちの王国へで描かれる異文化の描写も面白いと思う。
エイリアン・テイストも異文化とまではいかないけど、特異なコミュニティの文化の描写に力をいれているように見える。
表紙のノリは軽いけど、人物描写が丁寧なので
内容とは直接関係ないけど各作品の表紙の絵と「A Brother's Price」を「ようこそ女たちの王国へ」というタイトルにしたのは最高だと思う。






アイオーン
ラー

高野史緒


アイオーンは短篇の集合のような構成。架空のヨーロッパを中心にした大河物語といえばよいか。
スケールがでかいし、SF的ウソもでかいので、テンポ良く読める。
ラーはそれに比して、ウソがちっちゃい。実際の研究とかけ離れすぎないようにしているのかもしれないけど、どうせならでかいウソの方がいい。





啓示空間
カズムシティ
量子真空
火星の長城
銀河北極

アレステア・レナルズ/著 中原尚哉/訳


同じ世界、歴史設定によるシリーズ。火星の長城と銀河北極は短編集で、それ以外は長編。
どっかで聞いたような設定やガジェットがポコポコ出てくるので、ニヤニヤしながら読むのがお勧め。
エイリアンvsプレデターみたいなお遊びを許せない人は読まない方がいい。
シリーズ物なので、あっちの話の主役がこっちで脇役という事はあるものの、個々の話は独立しているので、好きな順序で読めばいい。
ただし、啓示空間と量子真空だけはこの順序で読むのがお勧め。基本的には出版順で読むと良いかと

特徴としては超光速やワープを禁じ手としているので、銀河系レベルで見ると結構狭い範囲のお話。
遺伝子改造、身体機械化、精神のアップロードは出来るけど、シリーズ中の出来事によって万能過ぎる技術は極限定的にしか存在しなくなる。
ほぼ登場人物が見聞きした事を通してしか情景が描かれないので、登場人物が観測できないことは描写が薄くなる傾向がある。
つまり登場人物が冷凍睡眠に入ると、起きるまで時間が飛んで、その間の出来事は読者も登場人物も分からないという現象が発生する。
登場人物は寝ていた時間に何があったかを、ネットと自分の足とで探りだそうとするので、なんとなくRPG的雰囲気がする。

もう一つの特徴は、長編が物理的に分厚いこと。3冊とも1000ページを超えるので読み応えがある。
厚くても中だるみしないのは、軽い謎解き要素のおかげかと。
今年一番はまったシリーズ。







シンギュラリティ・スカイ

チャールズ・ストロス/著 金子浩/訳


シンギュラリティが起きた後の物語なのに、いまいちそんな感じがしない。
事件は確かに起きているのに、いまいち緊迫感がないというか、登場人物たちは一応行動は起こすのだけど、どうしようもなさすぎる事態すぎて結局何も出来ないまま。
逆に言うと、作品世界内の人間の順応性がやたら高くて、解決できない場合、適応してしまうのだよね。
道具立ては好みなのに、なぜかしっくりこなかった。世界設定がもっと詳しく描かれれていれば、入り込めたかも。




トランスフォーマーリベンジ
アラン・ディーン・フォスター/著 中原尚哉/訳


映画第二作のノベライズ。フォスターさんは映画のノベライズを多く手がけていて、トランスフォーマーに関しても映画第一作のノベライズと映画の前日譚にあたる小説も書いている。
映画とどこまで設定が同じなのか分からないけど、映画では映像で語っていることを、文字で語ってくれるので、映画を補完する設定資料集として読むのが良いのかも。
映画では軽く流されていたところが、実は伏線だったりとか。発見も多い。
結構細かく描写されているとはいえ、サイバトロンにしろデストロイにしろ、造型が頭に浮かばないと読んでいて楽しくないので、映画を見てから読むのが正解。




戦いの子
艦長の子
海賊の子

カリン・ロワチー/著 嶋田 洋一/訳


三部作だけど、海賊の子は他二冊からだいぶ離れていて、外伝的印象がある。
一番面白いと思ったのは、戦いの子。異星文明と人類文明の差、その中で成長していく主人公の描写は、成長物語として悪く言えばありきたりだけど、王道でもある。
艦長の子と海賊の子は、人類文明も一つではない事と、その中での成長を描いていて面白いのだけど、第一作の主人公の王道さにどうしても負けてしまうように思える。
出来れば三人の子供たちがもっと絡んで欲しかったなあ。周辺人物も魅力的だし、続ければ続けられると思うのだけど、このシリーズは一旦お終いらしい。
読むなら、きちんと順番に読んだ方がいい。
ところで、巻を追うごとに腐女子向け要素が増えていくのは何故だろう。






機動戦士ガンダムUC1~10

福井晴敏


CCAの後、マフティー動乱の前の話。
ニュータイプというか、人類の可能性についての話しでもある。
ただオーバーセンス的な元気の良さはあまり無い。
アニメ版が楽しみ。









木曜日, 12月 24, 2009

pythontidyをvimで使うためのスクリプト

Pythonのコードフォーマッタといえば、pythontidy。
普通にコマンドとしても使えるわけですが、今書いているものに対して使用したいわけです。
で、私のメインエディタはvimなので、vimで使うにはどうすればいいか。

ただ使うだけならpythontidyにパスを通して:%! pythontidyでよい。普通はこれを適当なキーにマッピングしてやることになるはず。

ただpythontidyはsyntax errorのあるコードを受け付けないらしく、この方法ではsyntax errorが含まれているときに実行すると、エラーメッセージというかtracebackがバッファに書き込まれてしまう。uすれば戻るけど、うっかり:wqとかすると大変な事になる。

正常に動作した場合でもカーソルが一番上の行に移動してしまう。これはマークを設定してやれば回避できるけど面倒すぎる。

というわけで、pythontidyを使うためだけのvimスクリプトを書いてみた。
前提としてPYTHONPATHにpythontidyが入るようにしておくこと。
function! Pythontidy()
python << EOF
import tempfile
import vim
import pythontidy

cb = vim.current.buffer[:]
b = tempfile.TemporaryFile(mode="rb+")
out = tempfile.TemporaryFile(mode="rb+")
for l in cb[:]:
b.write(l + '\n')
b.seek(0)
pythontidy.tidy_up(b, out)
out.seek(0)
vim.current.buffer[:] = out.readlines()
EOF
endfunction

これをpython_tidy.vimという名前でもつけてあげて、ftpluginの下に置いてやる。
で、python.vimにmap <f5> :call Pythontidy()と書く。<f5>のところは任意のキーでいい。
これでsyntax errorを含むコードを食べさせても、インフォメーションメッセージにエラーが出てくる。ちゃんと動作したときも行の位置が変化しない。

これで安心してダラダラコーディングできる。

日曜日, 12月 06, 2009

駅をたずねられた

書くのを忘れていたけど、ちょっと前に駅の場所を駅の近くで聞かれた。
建物の陰になっていて、駅本体は見えないけど、線路は見えているので想像つくと思うのだが。

土曜日, 12月 05, 2009

音楽映画を見る度に思い出すもの

音楽映画を映像にしろ、生演奏にしろ見る度に思い出すもの。


  風 景
     純銀もざいく

いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
かすかなるむぎぶえ
いちめんのなのはな

いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
ひばりのおしやべり
いちめんのなのはな

いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
やめるはひるのつき
いちめんのなのはな。


この詩の場合は、言葉によって映像が浮かぶわけですが。
音楽映画による、この詩の再現も見てみたいです。


青空文庫 聖三稜玻璃 風景へのリンク

ヨコハマ国際映像祭 CREAM 感想(会期後)

最終日前日に、NYKの会場も見ました。それも含めて感想。

前に書いた感想のうち、NYKは各論かもという予想を立てたけど、そんなことはなくて、新港ピアや他の場所の作品と呼応するというか、対置されている印象。

例えばクリスチャン・マークレイのVideo Quartetは安野太郎の音楽映画と比べてみると面白いだろうし(これは安野さん自身もそう言っている)、「都市のミーム」とポーリーンはどう違うの?とか、1対1対応するわけではないけど、関連付けて見ざるを得ない展示になっていましたね。
これも一種のデュアルスクリーン的効果なのかな。

Video Quartetと音楽映画については、あまりに対置が綺麗過ぎて多分狙ったのだろうなあ。偶然だったらちょっと残念かも。「音楽と映像」というテーマへの回答が、違っているけど、どこか近いような形で現れているのは非常に面白い。可能であればVideo Quartetで音楽映画をやって欲しいけど、実際やったらどうなるんだろう。演奏側の負担が音楽映画第九番以上に高くなるのは確実ですが。

ただ、対置されていると言っても、Video Quartetは映像作品で会期中ずっと見られたのに対し、音楽映画は演奏ということもあり、実際見られたのは11月28日にあった2回の発表会だけで、しかも整理券を手に入れられた人しか見られなかったというのが残念ですね。それ以上やるのは多分演奏者がもたないだろうけど。

安野さん曰く、「公開するのは、実際見にきてもらった人に申し訳ない」とのことでしたが、実際見ないと分からない事は多いので、その辺は気にしなくても良いと思います。
むしろ映像バージョンが広まるほど、生で見た価値は上がる気がしますし。
ダイジェストバージョンは公開しても良いかもと言っていたので期待したいところです。

音楽映画の言葉による解説などは、以下のリンクをどうぞ。
演奏する人へのインタビューは実は貴重な気がします。
作曲家・安野太郎のブログ 満員御礼! 音楽映画第九番 ありがとう!
安野太郎のMUSIC CREAM 1
安野太郎のMUSIC CREAM 2
安野太郎のMUSIC CREAM 3
演奏者へのインタビュー


さて、blogなんかを見ているとアルフレッド・ジャーの作品の人気が高いようですね。ただその理由を見ていると、ストーリーについてばかり語られて、映像についてはほとんど触れられていない様子。
確かにあのストーリーはストーリーで興味深いけど、その興味深さは言葉や文字でも再現可能で、映像である理由はほとんど無いように思えるんだけど。
つまり映像的にはそれほど面白みがあるわけでもないのに「ストーリーを見せている」という点で、一種のアンチ映像であり、そこが面白いとは思うのだけど、うまく言葉で説明できない。
少なくともストーリーの面白さだけで、あの作品を語るのは何かが足りないんじゃないかという事はメモしておきたいです。

NYKで書いておくことがあるとすると、山川さんの作品が不調っぽいのでスタッフに聞いてみたら、やっぱり不調だったというハプニングがあったので、正しい状態では見られなかったのが残念という事。
(正常を知らないのに異常を感じる不思議)


さて、NYKが一人で考える場だとすると、ラボスペースはみんなで考える場だったのかなあというのが、全て見て、会期が終わった直後の今の感想です。
ラボスペースは悪い話しか聞かないと、今日会った人に言われたのだけど、あの場に入り込めない人にはそう評価されても仕方ない部分はあるし、排他的空気、あるいは参加することを強要する雰囲気がラボスペースにあったのは否めないと思う。
ラボスペース内のCREAM CHANNELでは大量の動画が撮影されていて、stickamというサイトに、馬鹿みたいに大量に蓄積されているのだけど、この中にも一見さんお断りな動画は少なくない。
ヨコハマ国際映像祭のstickamページ

だいたいラボスペースに入ってすぐのところに、来場者に対して挑発的とも取れるメッセージがあったりとか、普通の映像「展覧会」を期待していた人には耐えきれないだろうね。
中の展示もお互いに干渉しあっていて、コンテキストが崩壊しているので、読み取ることすら困難だし。

でも、その分かなり自由な場所というか、他のコンテキストを潜り込ませる事も可能で、可能性としては一般来場者がCREAMのブースを利用することだって出来たはず(というより積極的に来場者を捕まえてたり)だし、サポートクルーが勝手に番組を作ることは当然の事として発生していました。
最終日にレーザータグを来場者に触らせるというのも、一応簡単に了承を取ったとはいえ、サポートクルーが勝手にやったわけだしね。

でも(と逆接に逆接を重ねるわけですが)、来場者というのは、会場において最も情報が少ない参加者なわけで、その状態でルール無きゲームに参加しろというのは、あまりに酷というかフェアでは無いと思うわけです。持っている手札が何か分かってもいないのに自由にやれと言われても、それは無茶というか横暴なだけで、その辺のケアがもっと出来なかったのかなというのが反省点かと。
来ました、見ました、帰ります、では面白くないのは強く同意するけど、強くコミットしてもらうにはどうすればいいのか、もっと考えるべきだったのではないかと思います。


GRLとレーザータグについては、もう少し落ち着いて考えてみるつもり。

だらだら書いたら語尾とか言葉使いが無茶苦茶ですね。後で直す気になったら直します。
多分直さないけど。