土曜日, 12月 05, 2009

ヨコハマ国際映像祭 CREAM 感想(会期後)

最終日前日に、NYKの会場も見ました。それも含めて感想。

前に書いた感想のうち、NYKは各論かもという予想を立てたけど、そんなことはなくて、新港ピアや他の場所の作品と呼応するというか、対置されている印象。

例えばクリスチャン・マークレイのVideo Quartetは安野太郎の音楽映画と比べてみると面白いだろうし(これは安野さん自身もそう言っている)、「都市のミーム」とポーリーンはどう違うの?とか、1対1対応するわけではないけど、関連付けて見ざるを得ない展示になっていましたね。
これも一種のデュアルスクリーン的効果なのかな。

Video Quartetと音楽映画については、あまりに対置が綺麗過ぎて多分狙ったのだろうなあ。偶然だったらちょっと残念かも。「音楽と映像」というテーマへの回答が、違っているけど、どこか近いような形で現れているのは非常に面白い。可能であればVideo Quartetで音楽映画をやって欲しいけど、実際やったらどうなるんだろう。演奏側の負担が音楽映画第九番以上に高くなるのは確実ですが。

ただ、対置されていると言っても、Video Quartetは映像作品で会期中ずっと見られたのに対し、音楽映画は演奏ということもあり、実際見られたのは11月28日にあった2回の発表会だけで、しかも整理券を手に入れられた人しか見られなかったというのが残念ですね。それ以上やるのは多分演奏者がもたないだろうけど。

安野さん曰く、「公開するのは、実際見にきてもらった人に申し訳ない」とのことでしたが、実際見ないと分からない事は多いので、その辺は気にしなくても良いと思います。
むしろ映像バージョンが広まるほど、生で見た価値は上がる気がしますし。
ダイジェストバージョンは公開しても良いかもと言っていたので期待したいところです。

音楽映画の言葉による解説などは、以下のリンクをどうぞ。
演奏する人へのインタビューは実は貴重な気がします。
作曲家・安野太郎のブログ 満員御礼! 音楽映画第九番 ありがとう!
安野太郎のMUSIC CREAM 1
安野太郎のMUSIC CREAM 2
安野太郎のMUSIC CREAM 3
演奏者へのインタビュー


さて、blogなんかを見ているとアルフレッド・ジャーの作品の人気が高いようですね。ただその理由を見ていると、ストーリーについてばかり語られて、映像についてはほとんど触れられていない様子。
確かにあのストーリーはストーリーで興味深いけど、その興味深さは言葉や文字でも再現可能で、映像である理由はほとんど無いように思えるんだけど。
つまり映像的にはそれほど面白みがあるわけでもないのに「ストーリーを見せている」という点で、一種のアンチ映像であり、そこが面白いとは思うのだけど、うまく言葉で説明できない。
少なくともストーリーの面白さだけで、あの作品を語るのは何かが足りないんじゃないかという事はメモしておきたいです。

NYKで書いておくことがあるとすると、山川さんの作品が不調っぽいのでスタッフに聞いてみたら、やっぱり不調だったというハプニングがあったので、正しい状態では見られなかったのが残念という事。
(正常を知らないのに異常を感じる不思議)


さて、NYKが一人で考える場だとすると、ラボスペースはみんなで考える場だったのかなあというのが、全て見て、会期が終わった直後の今の感想です。
ラボスペースは悪い話しか聞かないと、今日会った人に言われたのだけど、あの場に入り込めない人にはそう評価されても仕方ない部分はあるし、排他的空気、あるいは参加することを強要する雰囲気がラボスペースにあったのは否めないと思う。
ラボスペース内のCREAM CHANNELでは大量の動画が撮影されていて、stickamというサイトに、馬鹿みたいに大量に蓄積されているのだけど、この中にも一見さんお断りな動画は少なくない。
ヨコハマ国際映像祭のstickamページ

だいたいラボスペースに入ってすぐのところに、来場者に対して挑発的とも取れるメッセージがあったりとか、普通の映像「展覧会」を期待していた人には耐えきれないだろうね。
中の展示もお互いに干渉しあっていて、コンテキストが崩壊しているので、読み取ることすら困難だし。

でも、その分かなり自由な場所というか、他のコンテキストを潜り込ませる事も可能で、可能性としては一般来場者がCREAMのブースを利用することだって出来たはず(というより積極的に来場者を捕まえてたり)だし、サポートクルーが勝手に番組を作ることは当然の事として発生していました。
最終日にレーザータグを来場者に触らせるというのも、一応簡単に了承を取ったとはいえ、サポートクルーが勝手にやったわけだしね。

でも(と逆接に逆接を重ねるわけですが)、来場者というのは、会場において最も情報が少ない参加者なわけで、その状態でルール無きゲームに参加しろというのは、あまりに酷というかフェアでは無いと思うわけです。持っている手札が何か分かってもいないのに自由にやれと言われても、それは無茶というか横暴なだけで、その辺のケアがもっと出来なかったのかなというのが反省点かと。
来ました、見ました、帰ります、では面白くないのは強く同意するけど、強くコミットしてもらうにはどうすればいいのか、もっと考えるべきだったのではないかと思います。


GRLとレーザータグについては、もう少し落ち着いて考えてみるつもり。

だらだら書いたら語尾とか言葉使いが無茶苦茶ですね。後で直す気になったら直します。
多分直さないけど。

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