月曜日, 12月 28, 2009

今年読んだ小説

何を読んだか記録しておくために、とりあえず記憶の中からリストアップ。
本当は小説に限らず全部記録すべきで、そのためには都度記録した方がいいんだろうけど。
小説というよりSFばかり。そして特に意識していなかったけど女流作家とイギリスの作品が多い。
これは最近のハヤカワの傾向なのでしょうか?
順番は基本的に挙げてある最後の本を読んだ作家順です。
訳者は調べ直したけど、間違いがあるかも。

プロバビリティ・ムーン
プロバビリティ・サン
プロバビリティ・スペース

ナンシー・クレス/著 金子司/訳


複数の異星文明との接触とその戦争を描いたシリーズ。
古代の銀河系超文明が残したらしいゲートを使った跳躍航法によって光速を突破出来る設定。
タイトル通り、だんだんスケールが大きくなっていく。
が、一番の見どころは、登場する異星文明の描写だと思う。
そういう意味で、一番面白いのはムーンかと。サンとスペースはどちらかというと人類の描写が中心なので。





エイリアン・テイスト
ティンカー
ようこそ女たちの王国へ

ウェン・スペンサー/著 赤尾秀子/訳


キャラ重視で作品を作っているらしい作家。でもティンカーや、ようこそ女たちの王国へで描かれる異文化の描写も面白いと思う。
エイリアン・テイストも異文化とまではいかないけど、特異なコミュニティの文化の描写に力をいれているように見える。
表紙のノリは軽いけど、人物描写が丁寧なので
内容とは直接関係ないけど各作品の表紙の絵と「A Brother's Price」を「ようこそ女たちの王国へ」というタイトルにしたのは最高だと思う。






アイオーン
ラー

高野史緒


アイオーンは短篇の集合のような構成。架空のヨーロッパを中心にした大河物語といえばよいか。
スケールがでかいし、SF的ウソもでかいので、テンポ良く読める。
ラーはそれに比して、ウソがちっちゃい。実際の研究とかけ離れすぎないようにしているのかもしれないけど、どうせならでかいウソの方がいい。





啓示空間
カズムシティ
量子真空
火星の長城
銀河北極

アレステア・レナルズ/著 中原尚哉/訳


同じ世界、歴史設定によるシリーズ。火星の長城と銀河北極は短編集で、それ以外は長編。
どっかで聞いたような設定やガジェットがポコポコ出てくるので、ニヤニヤしながら読むのがお勧め。
エイリアンvsプレデターみたいなお遊びを許せない人は読まない方がいい。
シリーズ物なので、あっちの話の主役がこっちで脇役という事はあるものの、個々の話は独立しているので、好きな順序で読めばいい。
ただし、啓示空間と量子真空だけはこの順序で読むのがお勧め。基本的には出版順で読むと良いかと

特徴としては超光速やワープを禁じ手としているので、銀河系レベルで見ると結構狭い範囲のお話。
遺伝子改造、身体機械化、精神のアップロードは出来るけど、シリーズ中の出来事によって万能過ぎる技術は極限定的にしか存在しなくなる。
ほぼ登場人物が見聞きした事を通してしか情景が描かれないので、登場人物が観測できないことは描写が薄くなる傾向がある。
つまり登場人物が冷凍睡眠に入ると、起きるまで時間が飛んで、その間の出来事は読者も登場人物も分からないという現象が発生する。
登場人物は寝ていた時間に何があったかを、ネットと自分の足とで探りだそうとするので、なんとなくRPG的雰囲気がする。

もう一つの特徴は、長編が物理的に分厚いこと。3冊とも1000ページを超えるので読み応えがある。
厚くても中だるみしないのは、軽い謎解き要素のおかげかと。
今年一番はまったシリーズ。







シンギュラリティ・スカイ

チャールズ・ストロス/著 金子浩/訳


シンギュラリティが起きた後の物語なのに、いまいちそんな感じがしない。
事件は確かに起きているのに、いまいち緊迫感がないというか、登場人物たちは一応行動は起こすのだけど、どうしようもなさすぎる事態すぎて結局何も出来ないまま。
逆に言うと、作品世界内の人間の順応性がやたら高くて、解決できない場合、適応してしまうのだよね。
道具立ては好みなのに、なぜかしっくりこなかった。世界設定がもっと詳しく描かれれていれば、入り込めたかも。




トランスフォーマーリベンジ
アラン・ディーン・フォスター/著 中原尚哉/訳


映画第二作のノベライズ。フォスターさんは映画のノベライズを多く手がけていて、トランスフォーマーに関しても映画第一作のノベライズと映画の前日譚にあたる小説も書いている。
映画とどこまで設定が同じなのか分からないけど、映画では映像で語っていることを、文字で語ってくれるので、映画を補完する設定資料集として読むのが良いのかも。
映画では軽く流されていたところが、実は伏線だったりとか。発見も多い。
結構細かく描写されているとはいえ、サイバトロンにしろデストロイにしろ、造型が頭に浮かばないと読んでいて楽しくないので、映画を見てから読むのが正解。




戦いの子
艦長の子
海賊の子

カリン・ロワチー/著 嶋田 洋一/訳


三部作だけど、海賊の子は他二冊からだいぶ離れていて、外伝的印象がある。
一番面白いと思ったのは、戦いの子。異星文明と人類文明の差、その中で成長していく主人公の描写は、成長物語として悪く言えばありきたりだけど、王道でもある。
艦長の子と海賊の子は、人類文明も一つではない事と、その中での成長を描いていて面白いのだけど、第一作の主人公の王道さにどうしても負けてしまうように思える。
出来れば三人の子供たちがもっと絡んで欲しかったなあ。周辺人物も魅力的だし、続ければ続けられると思うのだけど、このシリーズは一旦お終いらしい。
読むなら、きちんと順番に読んだ方がいい。
ところで、巻を追うごとに腐女子向け要素が増えていくのは何故だろう。






機動戦士ガンダムUC1~10

福井晴敏


CCAの後、マフティー動乱の前の話。
ニュータイプというか、人類の可能性についての話しでもある。
ただオーバーセンス的な元気の良さはあまり無い。
アニメ版が楽しみ。









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