土曜日, 8月 09, 2008

「的」か「の」か

ヴェルナール・スティグレールさんの「象徴の貧困」という本。
最初見た時、「象徴『的』貧困」じゃないの?と思ったわけですが、一通り読んでみると、やはり「の」で合っているというのが私の意見。

つまり「象徴的貧困」だと、貧困によって何かが象徴されているように読めてしまうわけですが、この人が言いたいのは「象徴」を受容し操作する力の「貧困」についてであるわけで、いわゆる貧困問題について(少なくともこの本で直接的に)言いたいというわけではないようなのです。
付け加えれば、スティグレールさんにとってフランスにおける「象徴の貧困」という問題は、具体的で切羽詰まった現実の問題のようです。

とはいえ、フランス語は分からんし、相変わらず内容はまだ飲み込めていないので誤読の可能性はあるけど。
「象徴を受容し操作する力の貧困」てのもかなり怪しいまとめ方だなあ。
象徴といいながら、実は想像力の問題のような気もする。「象徴」とか「想像」とか「現実」とかのラカンっぽい用語は茄子さんの方が詳しいから、後で聞いてみよう。

ちなみにグーグルさんに聞いてみると、スティグレールさんと関係あるかどうかはともかく、「象徴的貧困」という言葉を使っている人もいるみたいですね。

追記
改めて読んだら、訳者あとがき(p240)でちゃんと「の」にした理由が書いてあった。
やはり「的」だと、貧困がなにかを象徴しているように読めちゃうから、あえて「の」にしたそうな。
一度読んだはずなのにすっかり忘れてる(むしろ覚えている?)。
気づいた事はメモを残さないとだめですな。

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